フォーラム演者 抄録・プロフィール: 山口 創

山口
演題:「身体感覚と心」


要旨:
身体と心の関係を考えた場合、身体から心を考える視点が重要であろう。
それは身体末梢のさまざまな要素のはたらきが
脳に影響を与えているからである。
最近の神経心理学の知見からも、その事実は明らかにされている。

東洋、特に日本には
この方向性に基づく行法や武道、芸術が数多くあるのも特徴であり、
それらの修練には身体感覚が重要な要素となっている。
一方で、外界の情報を知覚する皮膚感覚のはたらきも重要である。
自己と環境の境界としての皮膚感覚は、自己の意識と密接な関係がある。
そこで全身の皮膚感覚にアプローチすることにより
心理面を治療することも可能である。

本講演では、
身体から心を探求するアプローチである身体心理学について紹介する。
特に演者が追及してきた皮膚感覚と心の関係について焦点をあて、
皮膚感覚の重要性について考えたい。

 

・プロフィール
山口 創 桜美林大学教授
1967年生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は、健康心理学・身体心理学。聖徳大学人文学部講師を経て、現在は桜美林大学教授。臨床発達心理士。
子どもに触れることの影響や、タッチングの質について研究している。
主な著書に、『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書)、『皮膚感覚の不思議』(講談社)、『幸せになる脳はだっこで育つ』(廣済堂)など多数。

 

手の治癒力 腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す 身体はこんなに賢い