第5回大会演者 抄録・プロフィール: 高木慶子

高木 慶子
(上智大学グリーフケア研究所特任所長・日本スピリチュアルケア学会理事長)
演題: 特別講演「全人的ケアについて」


要旨:

現在、人々は人間を理解する場合、WHO(世界保健機構)が提言した人を4つの側面に分けた(つまり、身体面、精神面、社会面、スピリチュアルな面)この考えで納得したような傾向があるが、その考えにはメリットとデメリットがあり、人を分析し、それを各々として考えたり、それぞれにケアをすることの危険性もある。

人間はあくまで全人的存在であり、ケアの側面性を考えても、全面的ケアが必要であると考えている。

人間は一個の主体であり、その主体がWHOが言うところの4つの側面を有しているのであるが、人間を理解するためには、一個の主体、つまりアイデンティティーを主軸とした人間を考えなければならないと考える。

またケアを考える場合においても分析された各々をケアすることも必要な時もあると考えるが、大事なことは「その人自身=全人面」をケアすることでもあり、意識することを忘れてはならないと考えている。

 

【プロフィール】

髙木 慶子(たかき よしこ)

熊本県生まれ。聖心女子大学文学部心理学科卒業。上智大学神学部修士課程修了。博士(宗教文化)。

現在、上智大学グリーフケア研究所特任所長。「生と死を考える会全国協議会」会長。

「兵庫・生と死を考える会」会長。一般社団法人グリーフケアパートナー理事。

援助修道会会員。「日本スピリチュアルケア学会」理事長。

兵庫県「県勢高揚功労」(2015年度)、「カトリック大学連盟 カトリック学術研究奨励賞」受賞、「神戸新聞 第63回平和賞」受賞、「財団法人兵庫地域政策研究所機構 第7回21世紀のまちづくり・研究部門賞」受賞、など。

三十数年来、ターミナル(終末期)にある人々のスピリチュアルケア、及び悲嘆にある人々のグリーフケアに携わる一方、学校教育現場で使用できる「生と死の教育」カリキュラムビデオを制作。幅広い分野で全国的にテレビや講演会で活躍中。

著書として、『喪失体験と悲嘆-阪神淡路大震災で子供と死別した34人の母親の言葉』(医学書院)、『大切な人をなくすということ』(PHP出版)、『悲しみの乗り越え方』(角川書店)、『悲しんでいい~大災害とグリーフケア~』(NHK出版)、『悲しみは、きっと乗り越えられる』(大和出版)『それでもひとは生かされている』(PHP研究所)『それでも誰かが支えてくれる』(大和書房)、最新刊『「ありがとう」といって死のう』(幻冬舎)など多数。