第3回大会演者 抄録・プロフィール: 中井吉英

中井 吉英(なかい よしひで)
演題: 基調講演 「心身相関から身心一如へ」


要旨:
西洋医学はデカルトの心身二元論から出発し、
近代科学の建設者であるアイザック・ニュートンの静的機械論的宇宙観に基づく要素還元主義により発展した。
その結果、西洋医学では身体と心を二分し、
身体の病気は内科をはじめとした身体科へ、心の病気は精神科へといったかたちをとる。
このような医学の反省として、心身医学は心と身体は相関しているという立場をとってきた。
しかし、心と身体といった二つの要素に還元したに過ぎないのではなかろうか。
一方、わが国の心身医学は非要素還元主義的な身心一如という立場をとってきた。
当日は、わが国の心身医学とその臨床科名であり大いに誤解されている心療内科について解説しながら、
「心身相関から心身一如」をテーマにしてお話する。

 

【プロフィール】

1969年関西医科大学卒業、同大学大学院入学(内科学専攻)。
1972年九州大学医学部心療内科入局。助手、講師。消化器疾患の心身医学とくに慢性膵炎、慢性疼痛の臨床と研究に従事する。
1993年関西医科大学第1内科学講座教授、
2000年より同大学心療内科学講座初代教授。
2009年定年退職後、関西医科大学名誉教授、洛西ニュータウン病院名誉院長・心療内科部長。
2015年より現在に至る。関西大学客員教授、日本心療内科学会理事長、日本心身医学会理事長歴任ほか。
主な著書に「生老病死の医療をみつめてー医者と宗教者が語る、その光と影」(編著 ミネルヴァ書房2016)、
日独研究所シンポジゥム「生と死」(共著 こぶし書房2014)、
「全人的医療入門」(単著 中山書店2013)ほか。