第3回大会演者 抄録・プロフィール: 川畑のぶこ

川畑 のぶこ(かわばた のぶこ)
演題: レクチャー 「サイモントン療法の理論と実際」


要旨:
サイモントン療法は、米国の放射線腫瘍医で心理社会腫瘍医の、O. Carl Simontonが発案した、がん患者とそのサポーターのための心理療法である。
現在ではがんのみならず、心的ストレを起因とする疾病に対しても同療法が提供されている。
精神・心理面の生体への影響が認められるようになり久しいが、現代医療では、それらの分野へのアプローチは殆ど網羅されていない。
サイモントンのメソッドは、病気をメッセンジャーとして捉え、その症状を治めるだけでなく、
病気をつくりあげたさまざまな原因、即ち、患者の個性、家族関係、地域社会、文化的背景などの心理社会面にも、包括的かつ体系的にアプローチし、
1)QOLの向上、2)病気の進行に違いをつくる、3)死の質の向上、をもたらすことを目的としている。
健康の核とは調和、即ち身体面、精神・心理面、社会面、そして霊性面のバランスの調和であり、これらの回復は宇宙全体への調和にも繋がるというのはサイモントン基本理念である。

 

【プロフィール】

NPO法人サイモントン療法協会 副理事長・サイモントン療法認定トレーナー
聖路加国際病院 精神腫瘍科 心理カウンセラー
米国Endicott College卒業後、経営コンサルティング会社、貿易会社勤務を経て、通訳・コーディネーターとして独立。通訳の仕事を通じてサイモントン療法に出会い、サイモントン博士指導のもとトレーニングを修了。
日本人第1号のサイモントン療法認定セラピストとなる。
日本帰国後、NPO法人サイモントン療法協会を設立し、同療法の普及・啓発に務めるほか、全国の医療機関において、がん患者や家族のメンタルケア、および心理的ストレスを抱えるクライエントに対して心理療法を行う。臨床以外に、心理カウンセラー養成指導、医学部講師、市民講座講師、患者会ファシリテータなどを務め、メンタルケア全般の普及・啓発に務める。