第3回大会演者 抄録・プロフィール: 稲葉俊郎

稲葉 俊郎(いなば としろう)
演題: ワークショップ 「生命システムとしての脳(部分)と心身(全体)の関係性」


要旨:
主に身体を対象とする循環器内科医として、心と身体とが同じ現象(心身一如)であることを臨床現場で日々経験する。
脳(頭)は因果論で動いているが、心と身体との関係は因果論ではなく共時性として理解している。
人間の脳は眠りと覚醒を生命システムとして内在している。
意識レベルにリズムがあり変動することと、瞑想や呼吸法など心身変容技術が心身としての全体性のバランスを保つことは、脳と心身との関連性を示唆する。
自分の体験が統合されるプロセスの中で、受容できなかった問題は二通りの経路を通り再体験を繰り返す。
一つ目は、自分内部の問題が身体化、心理化され、身体症状や心の病となり顕在化する経路。
二つ目は自分内部の問題が他者へ投影され人間関係の問題として体験する経路である。
それは広い意味での自己治癒力、ホメオスタシスである。
そうした脳と心身との全体性を保つ生命システムに関して、臨床医として感じていることを述べる。

 

【プロフィール】

医師。
2004年東京大学医学部医学科卒業。
2014年東京大学医学系研究科内科学大学院博士課程卒業(医学博士)。
現在、東京大学医学部付属病院 循環器内科 助教。
東大病院では心臓を内科的に治療するカテーテル治療や先天性心疾患を専門とし、
往診による在宅医療行いながら、夏には山岳医療にも従事している(東大医学部山岳部監督)。
医療の多様性と調和への土壌づくりのため、未来医療研究会という場を主催している。