第3回大会演者 抄録・プロフィール: 藤田一照

藤田 一照(ふじた いっしょう)
演題: ワークショップ 「呼吸という精妙な自然運動の探究~鼻息微通の息とは~」


要旨:
抄録:坐禅の修行は、われわれの身體が宇宙・大自然の生命活動の具体的な現れであるという洞察に基づいて行われる。
そのような坐禅は時に「黙照silent illumination」ともよばれる。
「黙」とは身体の全体の姿であり静・不動の次元を、「照」とは身体の内部の現象であり、動・活動の次元を指している。
坐禅とは身体(soma)のこのような黙と照の姿を如実に内観していく、極めてソマティックな営みなのだ。
生まれてから死ぬまで一時も休まずわれわれの生命を維持し続けている呼吸は黙照の働きの代表的なものだ。
このセッションでは、坐禅における調息のキーワードである「鼻息微通(鼻から出入りする息が身体全体で微細な感覚を産み出しながら流通している)」をテーマとして取り上げ、さまざまなソマティックワークを通して、呼吸という精妙な自然運動に親密に触れていくことをめざす。
「呼吸する身体」の再認識ができれば幸いである。

 

【プロフィール】

1954年、愛媛県生まれ。東京大学大学院で発達心理学を専攻。
博士課程を中退し禅道場に入山し得度する。
33歳で渡米、17年半にわたってヴァレー禅堂の住持として活動。
2005年に帰国し、神奈川県葉山を拠点に坐禅の参究、指導にあたっている。
曹洞宗国際センター所長。著書に『現代坐禅講義』、共著に『アップデートする仏教』『禅の教室』など、訳書に『禅への鍵』『法華経の省察』『禅マインド ビギナーズ・マインド2』などがある。
http://fujitaissho.info