第2回大会演者 抄録・プロフィール: 大下大圓

大下 大圓
演題: 特別講演 「瞑想療法:マインドフルネスから密教瞑想まで」


要旨:
演者は、高野山で密教修行を終えてからスリランカへ渡り、
テーラーヴァーダ(初期仏教)寺院で得度し、ヴィパッサナー瞑想にを始めた。
爾来40年近く瞑想を続けながら、多くの瞑想体験をしてきた。
1995年から2010年まで、飛騨千光寺において実施した
瞑想を活用した「スピリチュアルケアセミナーとワークショップ」において集約したアンケート資料等を、
医学的研究と質的研究による分析を試みた結果、
瞑想を活用したセッションが個人のストレスリダクションとスピリチュアリティ向上に有効であるとの見解が得られた。
また、2011年の東北震災以降に、宮城、岩手、福島県で被災地で瞑想療法を展開してきた。
とくに福島県川内村では自治体と連携して、健康生成のための瞑想療法プログラムを実施してきた。
瞑想療法とは心理社会学な視点からいえば「瞑想のもつ多義的な機能を活用して、
障害となる心身の改善や人間性、スピリチュアリティの向上を目指す心理的、精神的なアプローチである」である。
さらの宗教的、哲学的な視点からいえば
「瞑想療法とは、自身が生きる意味やスピリチュアリティに目覚め、自己の帰るべき方向を探しだす営み」(大下大圓、2010)である。
本講演では、実証学的研究とあわせて、初期仏教の瞑想と空海のもたらした真言密教の瞑想、
とくに瑜伽行の特性を通じて、その類似点や相違について語ってみたい。

 

【プロフィール】

飛騨千光寺住職
高野山大学客員教授