第2回大会演者 抄録・プロフィール: 遠藤卓郎

遠藤 卓郎
演題: 教育講演 「からだの見方と体育の可能性」


要旨:
肉体、身体、からだ、体、身、・・と、からだに関する言葉は様々に有る。
それぞれに微妙なニュアンスの違いもあるが、
それらの言葉が表そうとしているからだそのものは一つである。
違いの多くはからだを見る観点の違いのような気がする。
肉体、身体、「からだ」とからだの見え方を分けて考えてみた。
肉体は解剖学や生理学が、身体は文化人類学や社会学が対象としているからだの側面である。
「からだ」は主体の側から見ているからだ、第一人称的からだである。
従来の体育目標では、肉体や身体の側面ばかりに焦点が当てられてきたが、
「からだ」もまた重要な側面のひとつである。
体育の人間的意味を考えるという観点から言えば、むしろ本質的価値の存する領域である。
約25年間、東洋的身体技法を教材にした大学体育の授業を行ってきた。
学生達が感じてきた「からだ」についての記述をもとに氷山モデルを作成した。
それを使って、体育の在り方等を検討する。
同様に他者関係や環境との関係についても解釈し、体育の可能性について私見を述べたい。

 

【プロフィール】

1948年三重県生まれ。
1976年 東京教育大学大学院修了。筑波大学名誉教授。
2014年~つくば気功研究所主宰。日本養生学会副理事長,人体科学会理事,元日本体育・スポーツ哲学会会長。
大学体育の実践研究,特に身体技法の教材化研究を中心的に。
著書に「身体技法と大学体育:内側からの体育に向けて」(創文企画,2014),
「小学校の先生方への手紙:体育の見方、変えてみませんか」(学研出版,2009),
「授業から『からだ』を考える」(市村出版,2003)など。