フォーラム演者 抄録・プロフィール: 藤田 一照

藤田 一照
演題:「身体化された気づき-ソマティック・スピリチュアリティとしての仏教」

 

要旨:
仏教に伝承されてきた様々な瞑想行においては
身体の果たす役割がきわめて重要視されている。
たとえば、上座部仏教の『四念処経』は
「身体へのマインドフルネス」が基礎として位置づけられているし、
禅の道元は「仏道は身をもって得るなり」と言っている。
しかもそこでは、
二元論的に身体を意思によってコントロールするのではなく、
「からだにおいてからだの声を聴く」という身心一如的で
ソマティックなアプローチがなされている。
本講演では、このような仏教的瞑想行によって培われていく
「身体化された気づき(embodied awareness)」について論じ、
仏教をソマティック・スピリチュアリティの一典型として
とらえる意義を明らかにしたい。

WS題目:「呼吸する身体-息の深さへ向かって」

本ワークショップは,18日の講演において論じた「身体化された気づき」の実践編として行われる。
ソマティック心理学においても取り上げられることの多い
「呼吸」を材料として、いくつかの仏教瞑想をいっしょに実修し、
自らのからだを「呼吸する身体」として
しだいに深く気づいていくプロセスを体感してもらうことをめざす。
動きやすい服装、ヨガマット、瞑想用のクッションを持参されたい。

 

【プロフィール】

1954年愛媛県生まれ。

曹洞宗僧侶。
東京大学大学院教育学研究科教育心理学専攻博士課程を中途退学し、曹洞宗僧侶となる。

1987年より米国マサチューセッツ州の禅堂で約18年間住持として活動。

2005年帰国。
2010年よりサンフランシスコにある曹洞宗国際センター所長となり、
日本と海外を往還している。

著書に『現代坐禅講義』。
共著に『あたらしいわたし』『アップデートする仏教』など。
訳書にティク・ナット・ハン『禅への鍵』、『法華経の省察』など。

 

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