第3回大会演者 抄録・プロフィール: 深尾篤嗣

深尾 篤嗣(ふかお あつし)
演題: 分科会シンポジウム 「心身医療とソマティック心理学」


要旨:
Dosseyは医学・医療を歴史的に、第一段階の物理的な身体医学・医療、第二段階の心身医学・医療、そして霊性の介在を認める第三段階の医学・医療に分類している。
一方、心療内科の産みの親池見酉次郎は、「心身医学的療法のゴールは実存的な目覚めにある」「実存的な目覚めには、自我を超えたスピリットへの超越が必要である」と主張し、
さらに「西洋流のpsychosomaticな医学に東洋のsomatopsychicなアプローチを統合することによって、真のホリスティック医学への道が拓ける」と強調していた。
日本独特の身体概念「身(み)」は、「物理的(客観的)身体」「心理的(主観的)身体」「間主観的身体」「深層意識的(霊的)身体」を含む成層的関係的存在である。
ソマティック心理学を導入した<身>の医療は、心身医学から精神、身体、霊性を統合した第三段階医学・医療、“魂身医学”へのパラダイムシフトを促す。
当日は演者の専門であるバセドウ病を例にして三段階の医療について紹介する。

 

【プロフィール】

茨木市保健医療センター所長、心療内科医、医学博士、<身>の医療研究会理事長
1962年大阪府生まれ。大阪医大卒業。
九大心療内科特別研究学生、神甲会隈病院内科、洛和会音羽病院心療内科部長、藍野学院短大教授などを経て現職。
専門は心身医学と内分泌代謝学。
主な著書:「医療における心理行動科学的アプローチ― 糖尿病/ホルモン疾患の患者と家族のために」(編著)
「生活習慣病診療に役立つ受容と和みのコーチング」(共著)など。