第3回大会演者 抄録・プロフィール: 藤井康子

藤井 康子(ふじい やすこ)
演題: 分科会シンポジウム 「「食」に関する患者の訴えの多次元性に治療者が着目したことが改善の転機となった事例」


要旨:
主に身体を対象とする循環器内科医として、心と身体とが同じ現象(心身一如)であることを臨床現場で日々経験する。
脳(頭)は因果論で動いているが、心と身体との関係は因果論ではなく共時性として理解している。
人間の脳は眠りと覚醒を生命システムとして内在している。
意識レベルにリズムがあり変動することと、瞑想や呼吸法など心身変容技術が心身としての全体性のバランスを保つことは、脳と心身との関連性を示唆する。
自分の体験が統合されるプロセスの中で、受容できなかった問題は二通りの経路を通り再体験を繰り返す。
一つ目は、自分内部の問題が身体化、心理化され、身体症状や心の病となり顕在化する経路。
二つ目は自分内部の問題が他者へ投影され人間関係の問題として体験する経路である。
それは広い意味での自己治癒力、ホメオスタシスである。
そうした脳と心身との全体性を保つ生命システムに関して、臨床医として感じていることを述べる。

 

【プロフィール】

平成13年に東京大学医学部医学科を卒業し、九州大学医学部附属病院心療内科で研修。
平成16年より国府台病院心療内科で、心身症や摂食障害などの患者さんの治療に当たる。
個人的な体験がきっかけでプロセス指向心理学に興味を持ち、その後プロセスワーク初級セラピストの資格を取得。
平成26年9月より、赤坂こころのクリニック「ケイローン」に心療内科医・カウンセラーとして勤務。